女の子の朝は、
いつの時代だっていそがしい。
髪を巻いて、化粧をして、
今日も私、かわいいかなぁって鏡をチェックして。
気づいたらもう出発まであと5分！
なんて毎日で。

あわてて少し高めのヒールを履いて、
走って駆け込んだ電車の窓にうつる
自分の顔を見て、
「うん。大丈夫」って髪を触る。

でも、知ってた？
今日の「かわいい」は、
昨日食べたものからできていることを。

電車を降りたら「おはよう」って
後ろから声がして、
振り向いたら先輩が颯爽と横を抜けていった。

いつも綺麗な髪をなびかせて歩く彼女は、
どうしていつも朝からあんなにキラキラしてるんだろう？

「髪の毛のツヤも、食べたものからできてるって意識したことはありますか」って、
そういえば週末に行ったヘアサロンの美容師さんが、そんなことを言ってたのを思い出した。

でも正直ピンとこないなぁ。

だけどランチタイム、
先輩にこっそり聞いてみたら、やっぱり朝をしっかり食べてるみたい。

先輩に教えてもらった朝ごはんのレシピは、誰もが夢見るような
きっちりした素敵なメニューで、
ズボラなわたしにはとても真似できそうなものじゃなくて。

それでも何だか彼女に近づいてみたくて、
思い切ってわたしも「朝ごはん」を始めてみることにした。

まだ眠い目をこすりながら、
ヨーグルトと
お気に入りのフルーツをカットして3分、
そこにとっておきの「オーガニックのグラノーラ」を添えて5分。

カンタンな、
だけれど記念すべきわたしの
「朝ごはんの歴史」に名前を刻む
特別なメニュー。

さっそくいただきます。

オーガニックで作られた
「ちょっと特別なグラノーラ」は
噛みしめるとほんのり甘くて、優しい。
おいしい。

”体が喜んでる”って、こんな感じなのかな？
単純なわたしは、なんだかやる気がむくむく湧いてくる。

先輩がつくる朝ごはんには程遠いけれど、
なんだか少しだけ特別な自分がいるようで、
嬉しくなった。

あいも変わらずバタバタと過ぎる
朝の時間に5分だけ、
グラノーラを食べる時間が仲間入りした。

続けるうちに、なんだか昨日よりも、
その前の日よりも、
ちょっとずつわたしを好きになっていく。

昨日は「おはようございます」って先輩に挨拶したら
「最近、肌綺麗じゃない？」って、褒められた。

少しずつ変わっていく自分にワクワクしながら、
今日も朝ごはんに、手をあわせる。

オーガニックのグラノーラは、
わたしに綺麗と元気の魔法をかけてくれる、
魔法使いみたい。

誰かに教えたいような、
秘密にしたいようなわたしの
とっておきの朝ごはん。